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/ 2022.10.28

  • SE 構法

長期優良住宅のデメリットは?後悔しないための基礎知識

長期優良住宅とは「長く安全で快適に暮らせる」と認定された家のことです。国の定めた基準を満たし所管行政庁での認定が得られれば、税制面などの優遇措置を受けられます。

長期優良住宅に認定されると、節税や低金利の住宅ローンなどを活用できるようになります。しかし一方でコストが高くなったり、定期的な点検・修繕の義務があったりと、デメリットを感じる方もいるようです。

ここではメリットやデメリット、認定に必要な条件や申請方法など、長期優良住宅を考えるうえで知っておきたい基礎知識をご紹介します。

長期優良住宅にして後悔!どんなデメリットがある?

長期優良住宅に認定されると住宅ローンや税制面の優遇など、さまざまなメリットがあります。しかし一方で、捉えようによってはデメリットに感じられることもあるようです。ここでは代表的な例をご紹介しましょう。

着工に時間がかかる

長期優良住宅は通常よりも着工までに時間を要する場合があります。これは必要書類を登録住宅性能評価機関に届け、審査が通り、所管行政庁(建築確認申請をする建築主事がおかれている地方公共団体)に申請を行ってから着工する決まりがあるためです。(※東京都の場合)

確認にかかる時間は、建物を建築する地域や時期によって開きがあり1週間〜1か月、それ以上かかるケースもあります。入居の時期が決定している場合など、工期を長くしたくない理由があるときは注意しましょう。

建築コストがかかる

長期優良住宅の基準を満たす住宅の工事費は、そうでない場合に比べ高くなることがあります。これは建築会社によっても変わる部分です。ローコスト住宅であれば追加費用がかなり高く感じるかもしれません。しかし標準仕様で長期優良住宅に準じる性能を満たすような住宅であれば、認定の有る無しで価格が大きく変わるわけではありません。

定期点検が必要

長期優良住宅の認定を受けた場合、30年以上の期間にわたり10年以内の間隔で建物の点検が義務付けられています。その間に大規模災害などが起きたら、随時点検を実施しなければなりません。

所管行政庁に定期点検を含む建築・維持保全の状況について報告を求められたときに、その義務を果たさず虚偽の報告を行った際には、30万円以下の罰金を課せられることがあります。さらに認定が取り消されることもあり、長期優良住宅認定を条件とした住宅ローン控除などの優遇措置を受けていた場合は返還を求められることも。維持保全の状況に関する記録の保存も必要です。

参考:『長期優良住宅の普及の促進に関する法律』第六章「罰則」第二十一条

メンテナンスのコストがかかる

長期優良住宅の認定を取得した後、30年間にわたり10年以内の間隔で点検を実施する決まりがあります。

点検が必要な箇所は以下のとおりです

 ・住宅の構造耐力上主要な部分として政令で定めるもの
 ・住宅の雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの
 ・住宅の給水又は排水の設備で政令で定めるもの

引用:『長期優良住宅の普及の促進に関する法律』第二条の3号

点検は維持保全計画書に沿って行います。点検費用は業者によってさまざまですが、相場は5万円〜です。点検結果の記録は保管しておかなければなりません。ハウスメーカーでサポートしていることもあるので調べておくと便利です。

申請費用・手間がかかる

長期優良住宅の申請に関する手数料は、地域の所轄行政庁によって変わります。2階建ての戸建て住宅の場合を例に挙げると、自分で申請を行う場合は5万円、代行申請では20万円〜ほど掛かるイメージです。

認定後の設計変更は別途手続きが必要

長期優良住宅の認定を受けた後、設計を変更する必要が出てきた場合には計画変更の手続きが必要になります。認定から30年の間に増築やリフォームをする必要があり、維持保全計画を変更したい場合には、「計画変更手続き」を行わなくてはなりません。

長期優良住宅の税制面でのメリット

長期優良住宅の認定を受けるためには、申請の手続きや定期的な点検やメンテナンスが必要なため、それらをデメリットと捉える方は少なくありません。しかし一方で、さまざまな優遇措置を受けられるメリットもあります。

所得税の住宅ローン控除で優遇される

住宅ローンを利用して住宅を購入し、一定の条件を満たした場合、所得税や住民税を控除される制度が住宅ローン控除です。住宅ローンの年末残高の1%を10年間、所得税や住民税から控除されます。

一般住宅の場合、住宅ローンの借入限度額は最大4,000万円で、最大控除額は400万円です。一方、長期優良住宅は5,000万円まで拡大され、最大500万円が控除されます。

参考:『住宅ローン減税制度の概要』国土交通省 すまい給付金

投資型減税の対象

投資型減税は、住宅ローンを利用しなかった方にも所得税から一定金額が控除される制度です。耐震性・省エネルギー性能に優れた住宅を購入した場合のみ対象となります。所得税からの控除は、住宅の性能強化に必要な、標準的な掛かり増し費用(強化するためにかかった費用)が対象です。

  •  ・掛かり増し費用(平方メートルあたり)×床面積(平方メートル)×10%=控除額(限度額あり)

参考:『投資型減税』国土交通省 すまい給付金

不動産所得税の減税対象

不動産取得税は、住宅購入の際に支払う税金のことで、計算方法は以下の通りです。

  •  ・一般的な住宅:「固定資産税評価額(自治体が定める不動産の価格)」-1,200万円×3%(税率)=不動産取得税

 

  •  ・長期優良住宅:「固定資産税評価額(自治体が定める不動産の価格)」-1,300万円×3%(税率)=不動産取得税

 

固定資産税評価額から差し引かれる金額が、1,200万円→1,300万円へと増え、36万円→39万円が軽減されます。

登録免許税の税率が引き下げされる

住宅を新築したら「所有権保存登記」をする必要があります。また、すでに建っている住宅を購入した場合は「所有権移転登記」をします。このような登記を行った際に支払うのが「登録免許税」です。長期優良住宅の登録免許税は、税率が引き下げられています。

  •  ・登録免許税の税額=固定資産税評価額×(所定の税率)

 

【長期優良住宅の税率】
 所有権保存登記=0.1%
 所有権移転登記=0.2%

【一般住宅の税率】
 所有権保存登記=0.15%
 所有権移転登記=0.3%

固定資産税の減税期間が延長される

新規に住宅を建てた場合、期間は限定されていますが、固定資産税の2分の1を減額される制度が設けられています。

長期優良住宅の場合、この減額期間が延長されます。

  •  ・一般住宅の減額措置期間:3年
  •  ・長期優良住宅の減額措置期間:5年

 

参考:『認定長期優良住宅に関する特例措置』国土交通省

贈与税の非課税限度額が上がる

住宅を購入・新築するとき、両親などから資金援助を受ける方も多くおられます。その際に利用できるのが住宅取得資金の贈与の特例です。この場合、長期優良住宅は一般住宅よりも非課税になる金額が多くなります。

【住宅取得資金の贈与/非課税限度額】

  •  ・省エネ等住宅(長期優良住宅を含む):1,000万円まで
  •  ・それ以外の住宅:500万円まで

 

参考:『直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税』国税庁

金利、保険料、補助金などのメリット

長期優良住宅は節税になるだけでなく、住宅ローン金利や保険料の減額、補助金の対象になるなどのメリットがあります。

地震保険料の割引

地震保険には、耐震性能に応じた割引制度があります。長期優良住宅の認定を受けるためにはしかるべき耐震性が必要です。そのため、地震保険料の割引対象となり「耐震等級割引」「免震建築物割引」のいずれかの割引率が適用されます。

【耐震等級割引の割引率】

  •  ・耐震等級1:10%
  •  ・耐震等級2:30%(長期優良住宅の認定に必要な耐震等級は2以上)
  •  ・耐震等級3:50%

 

【免震建築物割引の割引率】

  •  ・50%

住宅ローンの金利優遇

住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する「フラット35」という住宅ローンがあります。この住宅ローンには「フラット35S」という制度があり、良質な住宅は一定期間、低金利が適用されます。

また耐震等級3の取得など、定められた基準をクリアした住宅は「フラット35S」(金利Aタイプ)の金利優遇が受けられます。

【フラット35S(金利Aタイプ)】
 条件:耐震等級3、など
 優遇:フラット35の金利から年間0.25%マイナスが借り入れ当初から10年間

【フラット35S(金利Bタイプ)】
 条件:耐震等級2以上、など
 優遇:フラット35の金利から年間0.25%マイナスが借り入れ当初から5年間

参考:住宅金融機構【フラット35】

補助金の対象になる(地域型グリーン化事業)

地域型グリーン事業は、長期優良住宅を建てるための工事費用に対する補助金制度です。国土交通省の採択を受けた工務店で新築した場合「地域型住宅グリーン化事業」の補助金を受けられる場合があります。

  •  ・補助金額:住宅1戸あたり最大110万円

参考:『令和3年度地域型住宅グリーン化事業 グループ募集の開始~地域の中小工務店等が連携して取り組む良質な木造住宅等の整備を支援します~』国土交通省

売却時に付加価値がつく/資産価値が上がる

長期優良住宅の認定を受けた家には「国によって定められた基準を満たした高品質な住宅」という付加価値が生まれます。定期的なメンテナンスが義務付けられている点から、中古住宅の市場でも長期優良住宅の人気は高く、資産価値の評価も高くなる傾向があります。

長期優良住宅の基準は?

長期優良住宅に認定されるためには、以下の基準を満たしている必要があります。

 ・長期に使用するための構造及び設備を有していること
 ・住居環境等への配慮を行っていること
 ・一定面積以上の住戸面積を有していること
 ・維持保全の期間、方法を定めていること
 ・自然災害による被害の発生の防止、軽減に配慮がされたものであること

引用:『長期優良住宅のページ』国土交通省

長期優良住宅の申請費用や方法は?

長期優良住宅として認定されるためには申請が必要です。

申請にかかる費用は、長期優良住宅建築等計画認定申請手数料。(※東京都)
「100㎡以内・戸建て」の場合:52,000円

代行申請の場合は20万円〜かかることが多いようです。申請には多数の書類や煩雑な手続きが必要なため、ほとんどの場合、施工会社が代行することになります。

長期優良住宅で後悔しないためのポイントは?

長期優良住宅認定を受けると、さまざまなメリットがあります。しかし一方で「後悔している」という声も。これは主に建築コストの増加や定期的なメンテナンスの義務によって生じる費用と税制面などの優遇が折り合わないことにより、起こるケースが多いようです。

ここでは、長期優良住宅を建てた際に後悔しないための注意点を2つご紹介します。

長期優良住宅の実績豊富なハウスメーカーで建てる

一般的な水準の住宅を長期優良住宅の基準を満たすレベルの住宅にするためには、当然ながらコストがかかります。そのため標準仕様で基準を満たしていないローコスト住宅などの場合と比較すると、かなりコストが高くつく印象を受けることがあります。

近年では標準仕様で長期優良住宅の基準を満たしているハウスメーカーも多くあり、その場合は認定を受けるために費用が高くつくことはありません。長期優良住宅の実績豊富なハウスメーカーであれば、技術面はもちろん申請の際においても手厚いサポートを受けられることがあります。

また定期点検においてもアフターサポートとして無償、あるいは格安で実施する工務店もあり、建築したハウスメーカーで継続的に面倒を見てもらえるのは安心です。

建築・維持のコストと税制面での優遇を比較する

住宅ローン減税制度の控除対象額は、借入額や所得によって控除額の上限が変わります。借入額が多く所得が少ない場合などは、控除額の上限いっぱいで控除が受けられるわけではないため、長期優良住宅を建てたとしても必ず税制面で大きく優遇されるとは限りません。税制面の優遇を重要視される方は、建築と維持にかかるコストをよく比較する必要があります。

参考:『認定長期優良住宅に関する特例措置』国土交通省

長期優良住宅の必要性は?申請しなくてもいい?

長期優良住宅を新築したら必ず認定の申請が必要というわけではありません。もちろん申請をしない選択肢もあります。

申請をしない場合、面倒な手続きや定期点検の必要がなくなる利点はあるかもしれません。しかし長く安全で快適な家に暮らすためには、自分で点検や整備を行う必要があります。

そもそも長期優良住宅と同等の家を建てるつもりなら、認定を受ける受けないの違いで費用が大きく変わることはありません。認定を受けなければ税制面や資産価値、補助金などのメリットは受けられなくなりますので、みすみす放棄する理由もないでしょう。

いつまでも快適に暮らす「長期優良住宅」という安心感

長期優良住宅は耐震性や省エネルギー性能に優れ、長く安全で快適な暮らしを叶えるだけでなく、適切なメンテナンスを行えば次の世代へと引き継いでいける資産価値の高い住宅です。

一般的なローコスト住宅などと比較すると建築コストが高い、定期点検・修繕の義務があることなどがデメリットと受け止める方も少なくありません。しかし耐震性や快適性にこだわり、品質の高い家を求める方にとっては利点の多い制度です。

手入れをすることで、良いものを長く使い続ける。そんなサスティナブルな暮らしを大切にされる方に選ばれる家。

Modulaの住まいの耐震等級は、最高等級「3」を取得しています。

【耐震等級「3」】の住宅は住宅ローン借入時の金利優遇や地震保険の割引などで、最大の優遇を受けています。

※Modulaの耐震性を支える「SE構法」については以下をご覧ください
Modula×SE構法:SE構法とは

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