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/ 2019.12.25

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建築前に考えたい住宅の地震対策!絶対に抑えておくべきポイント解説

地震大国日本に住む以上、住宅の地震対策についてはしっかりと考えておく必要があります。大地震による実際の住宅被害データをもとに、地震に強い家とはどういう家なのかを知り、さらに住宅を建てる前にチェックすべきポイントについても知っておきましょう。

・大震災時の倒壊データから考える地震対策の重要性

日本は、世界でもトップクラスの地震大国です。どれほどの地震大国かというと、世界中で起こるマグニチュード6以上の地震のうち、約2割が日本で起こっているというほどです。そんな地震大国日本だからこそ、想定外の規模の地震がいつ起きても不思議ではありません。

想定外の大地震といえば阪神・淡路大震災や東日本大震災が特によく知られていますが、忘れてはいけない大地震のひとつとして挙げられるのが、震度7の揺れが2回も発生した2016年の熊本地震です。

2016年12月8日に国土技術政策総合研究所講演会が発表した「過年の地震被害に重ねる2016年熊本地震による建築物被害」によると、熊本地震による木造建築物の建築時期別の被害状況は、耐震基準の違いによって大きな差が出ています。

1981年5月までの旧耐震基準の時代に建てられた木造建築物は28.2%が倒壊・崩壊、17.5%が大破ということで実に計45%以上もの木造建築物が大きな被害を受けていますが、1981年6月~2000年5月の新耐震基準のものとなると、倒壊・崩壊が8.7%、大破が9.7%とぐっと数字が下がっています。

そしてさらに、2000年6月以降建築の、いわゆる2000年基準が適用されている木造建築物は倒壊・崩壊が2.2%、大破が3.8%となっており、大きな被害を受けた木造建築物の割合は計6%にまで激減しています。[注1]

こうして見ると、2000年基準をクリアしている住宅は地震に対する安全性がかなり高いことがわかりますが、それでも残念ながら倒壊などの数字はゼロではないというのが現実です。

今後いつまたどこで起きるか分からない大地震で大切な家や命を失わないため、家が壊れないことの安心感を得るためには、単に2000年基準をクリアしているというだけでなく、さらに上の耐震性などを求めていくことが大切です。

 

[注1] 国土技術政策総合研究所講演会:過年の地震被害に重ねる2016年熊本地震による建築物被害[pdf]

http://www.nilim.go.jp/lab/bbg/kouenkai/kouenkai2016/pdf/161208_07.pdf

地震に強い家の条件とは?

地震に強い家の条件としては、おもに以下の2点が挙げられます。

*強固な地盤の上に建っている家

*高い基準での耐震構造などがほどこされている家

 

・・耐震性がある家でも弱い地盤の上では危ない

地震に強い家の条件としてまず挙げられるのが、家が良質な地盤の上に建っていることです。どれだけ家そのものの耐震構造がすぐれていても、その家を支える地盤そのものがやわらかい、揺れやすいという状態だと地震の被害は大きくなってしまいます。

地盤が地震に対して強固であるかどうかは実際に調査をしてみないとわかりませんが、土地選びの最初の段階から地盤の状態に不安を感じるような土地は、即、検討対象外にするべきです。地盤が弱くても地盤改良をすれば問題ない、と主張する業者も多いですが、地盤改良工事のコストがかかるうえに、地盤改良にセメントを使った場合は発がん性物質・六価クロムによる健康被害リスクが懸念されますし、さらにそのセメントのせいで土地の資産価値もマイナス評価されます。

さらに建て替え時には、地盤改良に使ったセメントなどの撤去も求められますので、ここでもまたコストがかかってしまいます。

どうしてもこの土地でなければダメだ、ほかは絶対に選べないという特殊事情でもないかぎり、地盤改良が必要になるような土地を選ぶのはやめましょう。

 

・・耐震基準3の家を建てよう

地震に強い家を建てたいなら、耐震等級3の家を建てるよう心がけることも大切です。

2006年6月以降に建築確認がおりている家は、すべて2000年基準の耐震基準が適用されており、この2000年基準の耐震基準=耐震等級1となり、その耐震強度は「数百年に1度程度の地震(震度6強~7程度)が来ても倒壊や崩壊せず、震度5程度の、数十年に1度発生する地震なら住宅の損傷も起こらない」とされています。

そして耐震等級2は耐震等級1の1.25倍の耐震力を持ち、さらに耐震等級3は耐震等級1の1.5倍もの耐震力を誇ります。

耐震等級3となると、病院や消防署など、防災の拠点となるような施設に使われる耐震レベルです。

一般住宅にここまで高い耐震等級はいらないのではないか、と思われるかもしれませんが、先ほどご紹介した熊本地震では、耐震等級2の家も倒壊しています。

震度7が2回も起こるという、まさに想定外の地震によって引き起こされた結果ですが、そんな熊本地震においても耐震等級3の家となると、倒壊例はひとつも見当たりません。

そうした事実から考えると、家の耐震性において万全策を考えるなら耐震等級3が一番のおすすめです。

 

・・免震構造を一般住宅に採用するのはあまりおすすめできない

さて、家の耐震についてお話ししましたが「耐震ではなく免震にしてみるという手もあるのでは」と考える人もいるでしょう。

建物に揺れに耐えられる力を持たせるのが耐震であるのに対して、免震は建物と地盤の間にゴム製の免震装置をはさんでその免震装置で揺れを吸収し、建物に揺れの影響が伝わるのを最小限に抑えるというシステムの違いがあります。

この免震構造を一般住宅に採用すること自体は不可能ではありませんが、耐震構造と比べるとはるかに多くのコストがかかるうえに、免震構造は横揺れの吸収力にはすぐれているものの縦揺れの衝撃はほとんど吸収することができない、という弱点もありますので、トータル的に見ればあまりおすすめできるものではありません。

・家を建築する前に、確認しておきたい地震対策

家の建築を始める前に、地震対策の一環としてしっかり確認しておきたいのが以下の3点になります。

*地盤に問題がないかどうか

*建築業者が耐震等級3の家に対応できるかどうか

*結露のしにくさや換気性能はどうか

 

・・対策1.通常の地盤調査だけでなく微動探査もしてもらおう

地震対策のためには地盤についてしっかり調べることが非常に大切ですが、一般的な地盤調査は、地盤の固さを調べることはできるものの、地震が起こった際に揺れにくい地盤であるかどうか、ということまで調べることはできません。

地震対策として地盤のことを考えるなら、固いだけでなく揺れにくい地盤を選ぶことが必須条件です。そのために役立つ調査として挙げられるのが、微動探査です。微動探査をすれば、その土地の地盤が揺れにくいか揺れやすいかを診断することができます。

地盤についての調査は通常の地盤調査だけでなく微動探査もしてもらうこと、まずこれを心がけましょう。

 

・・対策2.耐震等級3の家づくりに対応できる業者を選ぼう

先ほど述べたとおり、震度7の揺れが2度も発生した熊本地震では、耐震等級2の家であっても倒壊してしまったという例が1件発生してしまいました。

耐震等級3の家が倒壊したという例が現状では見当たらない、という事実を踏まえると、やはり選ぶべきは耐震等級3の家です。

家づくりのための業者選びは、耐震等級3に対応できる家づくりができる業者を選びましょう。その際の構造計算などについて、ビルなどの大規模建築物と同じような手法でやってくれる業者であれば、より安心感が高いのでおすすめです。

 

・・対策3.結露しにくく換気も問題ない家を建てられる業者を選ぼう

意外に思われるかもしれませんが、結露しにくい住宅、換気しやすい住宅というのも、地震対策には大切なポイントです。

なぜなら、壁内に結露が発生するような状況だと、家を支える柱や梁の腐食が進んでしまうというリスクがあるからです。換気が悪く湿気がこもりがちな家も、やはりこうした腐食は進みやすいです。

柱や梁の腐食が進むと強度も落ちてしまい、本来なら耐震等級3の耐震性能を満たしていたはずの家であっても、年月とともに柱や梁はどんどん腐って崩れ落ちやすい状態になってしまいます。

だからこそ、高断熱で結露が出にくく、24時間換気があるだけでなく家の中そのものが開放感あふれる間取りで湿気がこもりにくい、そんな家を建てられる業者を選ぶということも大切です。

【まとめ】 日本は大地震が多い!だからこそ地震対策を強く意識しよう

世界中で発生したマグニチュード6以上の地震のうち約2割が日本で起こっているというほどに、日本は大地震が多い国です。だからこそ住宅の地震対策を強く意識することは非常に重要で、地盤と建物、その両方に目を向けて厳しいチェックをしていく必要があります。

固いだけでなく揺れにくさもあわせ持つ土地を選び、耐震等級3をクリアできる耐震性能を持ち、なおかつ結露が発生しにくく換気性能もすぐれている、そんな住宅を建てられる業者を選ぶよう心がけましょう。

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