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/ 2019.09.06

  • お金のこと

手付金とは?不動産で売買契約する上で知っておくべきことまとめ

不動産売買をするとき、買主は売買契約書を交わすタイミングで売主へ「手付金」を支払うのが一般的です。ただし、ひとくちに手付金といっても、実際には売買契約書の内容によって種類や扱い方が変わってきます。手付金の扱いについて理解していないと、たとえばどちらかの事情で売買契約の締結後に契約を解除することになったとき、トラブルになってしまうケースも少なくありません。

そこで今回は、不動産の売買契約をする上で知っておきたい、手付金の基礎や注意点について解説していきます。

不動産の売買契約における手付金

不動産売買手続きは、

  • ・欲しい物件を探す
  • ・問い合わせや内覧を実施し、売主と価格などをすり合わせる
  • ・売買の条件が決まったら売買契約書の作成
  • ・売買契約の締結後、必要なら住宅ローンの本審査を受ける
  • ・ローンの審査に通れば、物件の引き渡し日に代金を精算して新居を手に入れる

 

という流れで進めていくのが一般的です。取引にもよりますが、非常に高額な資産である不動産を購入する場合、売買契約の締結時に手付金を支払います。手付金の扱いによっては、売買契約の締結後に取引をキャンセルした場合の返金条件などが変わってくるため、まずは手付金とはどういう費用なのかを押さえていきましょう。

手付金とは

手付金とは、売買契約の成立時に支払うお金のことです。手付金の支払い自体は法的な義務のあるものではありませんが、買主と売主が誠実に契約を進め、安易に売買契約を解約しないようにするための保証として利用されています。

 

不動産売買は、売主と買主が1対1で行う取引です。売主も買主も、取引を成立させる前なら比較をすることに問題はありません。しかし、1つしかない不動産を複数の買主に売却することはできません。そのため、不動産売買では、買主が物件購入を申し込み両者の間で売買契約を結んだ時点で、売主が物件広告を取り下げます。

 

もしも売買契約を交わした後にどちらかの事情で契約をキャンセルすることになった場合、損をするのは売主です。契約の解除にペナルティがなければ、契約を結んだ後も買主がより条件のよい物件を探したり、そのときの気分に応じて契約解除したりするリスクがあります。手付金は、買主から売主へ、「契約書の内容どおり取引をする気持ちがありますよ」という信頼を伝える方法だと考えればわかりやすいでしょう。

手付金の種類と意味

手付金の説明を簡単にまとめると、「間違いなくこの物件を購入します」という意思を示す手段です。ただ、手付金にはいくつかの種類があり、売買契約書でどこまで細かく手付金の扱いを決めているかによって、トラブルになったときの適切な対応方法なども変わってきます。

そんな手付金の種類は、次の3つです。

・証約手付

証約手付には、さきほども軽く説明した、「買主は売買契約書の内容どおり、責任を持ってこの不動産を購入します」という意思表示をするという意味が含まれています。いわば、保証金や頭金のようなものだと考えればイメージしやすいでしょう。

・解約手付

証約手付だけだと、安易に契約解除できないようするための機能がありません。そこで一般的に利用されているのが、民法の法律に従って契約解除に関するルールを定める、解約手付です。

不動産の譲渡や売買を含め、さまざまな取り引きに関するルールの基本を定めた民法の第557条では、「買主から売主へ手付金を支払った場合、一定のペナルティを受けるかわりに契約を解除できる」と決められています。[注1]

内容を捕捉すると、
 買主は、売主へ支払った手付金を手放せば、売主の同意がなくても一方的に売買契約をキャンセルできる
 売主は、買主からもらった手付金を倍返しすれば、買主の同意がなくても一方的に売買契約をキャンセルできる

という内容です。

[注1]e-Gov:民法第五百五十七条第一項
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089#2038

・違約手付

違約手付とは、売買契約書で合意した内容を果たせなかった場合のペナルティとなっています。たとえば、「契約不履行があったら手付金を没収する」というルールを作っておけば、買主が売買契約書で指定されている期日までに不動産の代金を支払うことができなかった場合、売主は手付金を没収しても構いません。

もし、売買契約で違約手付について規定していないと、債務不履行を理由に売主から買主へ調停を持ちかけたり、最悪の場合裁判を起こして損害賠償請求を行う必要があります。

買主側としては面倒な話ですが、手付金は、基本的に売主側の売却リスクを抑えるために利用されるケースが多いです。ただ、買主側が上記の手付金について理解していれば、売買契約を交わす前の交渉段階で、
 契約内容に詳しいため安心して取り引きできること
 万が一トラブルが起きても手付金の没収などで補償されること

を伝えて、自身の誠実さなどをアピールすることもできます。

詳しいことはこれからご説明しますが、手付金の具体的な金額は、基本的に買主と売主が話し合って決めるのが一般的です。事前に「契約内容に明るい」ことを伝えておけば、法外な手付金が生じるといった事態も防げるでしょう。

手付金の相場は不動産価格の5%~20%が目安

売買契約の成立時に支払われる手付金の相場は、おおよそ不動産価格の5%から20%が相場です。個人間の取引だと、手付金の額にルールはないため、お互いさえ納得していれば好きな金額にすることができます。ただ、不動産の取り扱いに関する基本ルールを定めた「宅地建物取引業法(通称宅建業法)」の第39条で、「不動産会社相手の取引だと、手付金は最大でも物件価格20%まで」と決まっているため、20%を越える手付金を設定するケースは少ないです。[注2]

買主側は、事前の交渉で売主の信頼を得ていれば、必要最小限の手付金で取引を進めることができるでしょう。

[注2]e-Gov:宅地建物取引業法第三十九条
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=327AC1000000176#514

手付金の価格設定で大切なことは相場に合わせること

売買契約の手付金を決める場合、相場よりも安すぎる金額や、高すぎる金額にするのは避けたほうが無難です。不動産価格の5%から20%という相場を知っていれば、高すぎる手付金を求められてもなぜその金額なのかと反論できます。

 

多くの場合、不動産の売買は不動産仲介会社やハウスメーカーを通じて行うため、相場からかけ離れた金額になることはありません。ただ、中には買主の無知につけ込んでくる悪徳業者も存在するため、トラブルを未然に防ぐためにも相場に合わせることが大切です。

 

逆に、相場より安すぎる手付金にするのも問題があります。売主側に手付金の知識がないからといって、交渉で無理やり手付け金の額を引き下げると、売主からの信頼感を損なってしまうからです。個人間で取引をする場合、売主の感情を害すると交渉決裂のリスクが高まってしまいます。手付金の価格は、相場より高くも安くもない金額にすることを心がけましょう。

契約解除した場合、手付金はどうなるの?

売買契約書で違約手付などの条件を決めていなくても、売買契約書を交わした段階で手付金を支払えば、自動的に解約手付が適用されます。買主も売主も、ペナルティを受ければ一方的に売買契約を解除できるのが解約手付の内容でした。しかし、契約解除のタイミングによっては手付金が戻ってきません。ここでは、手付金を返金してもらえるパターンと、そうでないパターンをそれぞれご紹介します。

・売主側の事情や住宅ローンの審査落ちで契約解除する場合は手付金が返金される

売買契約を結んだ後、売主の希望で一方的に契約解除を求められた場合、買主は支払った手付金を全額取り戻すことが可能です。それどころか、支払った手付金の倍額が戻ってきます。

どうして売主側から契約解除した場合手付け金が戻ってくるのかというと、売買契約を交わした時点で買主がさまざまなリスクを負うからです。たとえば、売買契約書を作る際、取引金額に応じた収入印紙を購入して書類に添付し、印紙税を支払う必要があります。売買契約の締結後、売主は住宅ローンの本審査へ申し込みますが、住宅ローンの利用にも手数料が必要です。ローンの審査に通った状況だと、ローンの利用を取り消す手続きも必要になります。

このように、正式な契約後は買主側の負担が大きくなるからこそ、売主の希望による契約解除では手付金を返してもらうことが可能です。また、住宅ローンの本審査に落ちた場合、売買契約書で「住宅ローン特約」を設定していれば、手付金が戻ってきます。

・買主側の事情で契約解除する場合は手付金が返金されない

一方、買主側の事情で売買契約の成立後に契約解除を申し出た場合、支払った手付金は戻ってきません。「買う」と宣言した物件を、「やっぱり買わない」と取り消すことへの迷惑料を負担するからです。

また、売買契約書で「債務不履行があった場合は手付金が売主のものになる」と決めている場合、支払いの遅れなどがあると手付金を没収されてしまいます。この場合、買主が債務不履行をしたことに対するペナルティを受ける必要があるため、手付金を取り戻すことはできません。

よくある手付金トラブルと予防方法

売買契約の締結後、契約を解除できるのは、法律で「債務の履行に着手するまで」と決まっています。ただ、「債務の履行に着手するまで」を、具体的にいつまでなのか、どの手続きをした段階なのかを事前に買主と売主で共有していないと、トラブルになりがちです。解釈違いによるトラブルを避けるという意味では、売買契約を交わす段階で、書面に「契約解除の期限は○月○日まで」と期限を区切っておくとよいでしょう。

まとめ

・不動産売買の手付金の内容を把握して売買をスムーズに終わらせましょう

不動産売買では、売買契約を交わす際に手付金を支払います。ただ、手付金の額は買主と売主の交渉次第で変わるうえに、手付金の知識次第では契約解除時に返金を受けることもできるので、売主と交渉する前に内容を把握しておきましょう。ただ、信頼できる不動産業者から家を買う場合は、契約書の内容や手付金の額に頭を悩ませる必要がありません。迷ったときは、新築のハウスメーカーから家を買うことをおすすめします。

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