人と住まいのコラム
「不動産のギモン」が紹介する地球規模の環境も考える省エネ住宅の魅力

地球規模で環境を考える省エネ住宅の魅力

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土地選びのキホン

かつては先進的でハイテクなイメージで語られることが多かった「省エネ住宅」も、今ではすっかり当たり前の存在になりつつあります。その一方で、いまだに最低限の断熱対策すら施されていない住宅が全体の4割弱にも上るというのがわが国の実情だというのは驚きです。そこで今回は、住宅の省エネ化が義務づけられる2020年に向けて、「省エネとは何か」「家庭レベルでできる環境対策とは何か」について改めて考えてみましょう。

 暮らしを支える電気・ガスなどのエネルギー

冷暖房、給湯、調理──私たちが生活を営むうえでもっとも基本的な活動に不可欠な電気、ガスなどのエネルギー。ところが、そのもととなる石油や天然ガスなどの資源は有限であり、いつかは枯渇することが危惧されています。

その一方で、世界の人口は増え続け、国際的な経済活動は拡大の一途。天然資源の消費は加速するばかりです。もちろん、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーもここへきてようやく軌道に乗ってきましたが、それでも、火力発電を代替えするところまでは到達していません。また、もっとも有望視されていた原子力発電も安全性への懸念から、多くのプラントが稼働を見合わせている状況です。

石油や原子力に代わる革新的なエネルギーが開発されない限り、この現状が大きく変わることはないでしょう。しかし、何も手をこまねいている必要はありません。資源の絶対量に限りがあるなら、それを上手に節約し、有効に使えばよいのです。もちろん、国の政策や企業努力で、産業やオフィスなど経済活動で生じるエネルギーの節約はだいぶ進んでいますが、今、注目されているのは、むしろ家庭での省エネ。わが国では炭酸ガスの16%が家庭から出ており、削減が見込めると考えられています。

家計にも環境にも優しいのが省エネ住宅

もちろん、資源の節約は地球環境の負荷を軽減するだけでなく、家計の節約にもつながるので一挙両得です。具体的な数値目標を掲げて全家庭が省エネに取り組めば、大きな成果が上げられると期待されています。

では、家庭での省エネを推し進めるにはどのような取り組みが必要なのでしょう。たとえば、住まいの断熱性や気密性を向上させて、室内の温度が外気に影響されない環境を作るといったことも1つの方法であり、家中の照明をLEDに換えたり、エアコンなどの電化製品を省電力タイプに置き換えたりすることも省エネ住宅化を推し進める原動力になるでしょう。さらに太陽光発電など創エネで使う一方だったエネルギーを創り出すことで相殺できれば、一層の省エネ、家計の節約が可能になります。

もちろん、新築時にこうした対策を施すと初期費用は相応に高くつくかもしれません。しかし、そこで暮らす何十年という歳月を考えた場合、その省エネ対策で得られるランニングコスト削減効果で、割高だと思っていた導入コストも早期に回収できるはずです。

2020年問題を視野に入れたマイホーム購入を

住宅の省エネ化は現代のトレンド。しかし、その一方では、いまだに断熱対策すらしていない家屋が全体の4割弱にも上るというのが日本の住宅事情でもあります。しかし、国はこうした現状を決して放置しているわけではありません。2020年からすべての新築住宅に一定の省エネ基準を課すことで徐々に無対策の家屋を削減しようとしています。

つまり乱暴に言えば、「省エネ住宅でなければ建てることができない」ということです。その省エネ基準もかなり厳しいものだったこともあり、家づくりの担い手であるハウスメーカー、工務店ではその対策を前倒しで進めてきました。そのよい例がZEH(ネット・ゼロエネルギー住宅)です。これは、住まいの断熱性・省エネ性能を上げることに加え、太陽光発電などでエネルギーを創出することで、年間の一次消費エネルギー量(空調・給湯・照明・換気)の収支をプラスマイナス「ゼロ」にすることを可能にした家で国が定めた2020年基準を余裕でクリアします。

ZEHは一例に過ぎませんが、家庭レベルで環境保全を考えるべき時代となった現代では、こうした省エネ化は必然であり、わが国でも2020年を機にこの流れは一気に加速するでしょう。2020年の省エネ義務化の流れもあり、今後は家の購入においてももう少し真剣に省エネを意識する必要がありそうです。家庭レベルから地球のことを思いやれるように考え方を変えていくことが大切になります。

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