人と住まいのコラム
「土地選びのキホン」が紹介する生活するうえで知っておきたい地域の治安

生活するうえで知っておきたい地域の治安

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土地選びのキホン

交通アクセスが良くて地盤も強い立派な家を購入したとしても、周辺地域の犯罪率が高かったり、交通事故の発生件数が多かったりすると生活は不安になるものです。特に購入後にそうした実態を知ると非常にショックなだけに、下調べの段階でエリアの治安については調べることをおすすめします。予期せぬ事件、事故からご自身やご家族から守るためにも、住宅を購入する際は地域の治安にも着目するようにしましょう。

安全な都市・東京にも危険はいっぱい

2020年の五輪開催に向けて、東京都内では交通インフラの整備や公共施設のセキュリティー向上への取り組みが続いています。人が多く集まる場所には防犯カメラがいたる所に設置され、犯罪の抑止力として機能するようになりました。また、2016年に落し物として届けられた現金は、東京だけで総額36億7000万円にのぼり、そのうちの4分の3は持ち主の手に返されたという警視庁のデータからも、東京がいかに治安のいい都市であることが伺えます。

東京の安全性は、イギリスの経済誌・エコノミストが発表する「世界の都市安全性指数ランキング」で世界60都市中1位を獲得するなど、世界的に高く評価されています。しかし、その一方で地域住民の目や防犯カメラの隙をついて発生する女性や子どもへの声かけ事件や、繁華街での薬物取引などの犯罪行為が後を絶たないのも事実です。世界が安全と認めていても、住む人が暮らしに不安を抱えている側面もあり、東京は犯罪とは無縁の都市であると言い切ることは難しいでしょう。

また、電車やバスなどの公共交通機関が発達し、車を持たなくても移動に苦労しないことが都市部に住居を構える魅力ではありますが、それゆえ狭い商店街を大型のバスが走りぬけたり、歩道を走る自転車が歩行者にぶつかりそうになったりする光景もしばしばみられます。家族を事件や事故から守るためには、家を購入する際に犯罪や交通事故の発生しにくい治安のいい土地を選ぶことが大切です。

「犯罪情報マップ」「交通事故発生マップ」を参考に

一口に犯罪と言っても、強盗や放火などの物騒な事件から器物損壊などの比較的身近なものまでさまざまです。それらの犯罪や交通事故から家族を守るためには、周辺地域で起きやすい事件や事故をあらかじめ把握しておく必要があるでしょう。

警視庁が公開する「犯罪情報マップ」を見れば、市区町村単位、あるいは町丁目単位で犯罪概要を調べることができます。不審者情報では、子どもや女性に対する声かけ事件の発生状況が時期別に色分けされて公開されているので、該当する家族がいる場合には入念に確認しましょう。また、「交通事故発生マップ」では駅名や市区町村名などから、エリアをしぼって事故の発生状況を検索できます。二輪車や歩行者の事故が少ない土地なら、子どもやお年寄りも安心して暮らせるはずです。

しかし、犯罪や事故が起きにくい土地を選んだとしても、戸締りや交通ルールの遵守を怠れば、犯罪や交通事故から身を守ることはできません。犯罪や事故の頻度と傾向を知り、その地区に暮らすうえで何に気をつけるべきか、対策を考えることが大切です。もし購入する前なら、より治安のいい土地を探し直すこともできます。「犯罪情報マップ」や「交通事故発生マップ」に目を通して、住む土地に潜む危険を把握することは、家族が安心して暮らすために不可欠なのです。

繁華街か住宅街で安全性に大きな差が

平成27年の自治体別刑法犯発生状況(警視庁)を見ると、23区では新宿区、世田谷区、江戸川区、足立区、大田区の順に犯罪が多く発生していることがわかりますが、世田谷区や大田区の犯罪発生件数が多いのは区の面積が大きく人口が多いためなので、割合としてはむしろ少ない方だと言えるでしょう。

住む地域の安全性を正確に検討するためには、エリアをより細かく区切ってデータを集める必要があります。23区を警察の管轄にそって77のエリアに細分化し、犯罪発生件数を比較したデータによると、新宿、万世橋、池袋、麻布、上野など繁華街を有するエリアで凶悪犯罪が集中的に発生していることがわかります。繁華街から少し離れた地にするだけでも、治安が良い傾向があるので、都心部に住むことをお望みの方は、治安と利便性のバランスを考えて土地を選ぶことが大切です。

自治体別刑法犯発生状況が新宿区に次いで2位だった世田谷区も、成城、玉川といったエリアは77のエリアのうちでも凶悪犯罪の発生件数が少なく、治安のいい土地であることが明らかになっています。家族が安心して暮らせる土地を選ぶためには、徒歩圏内で起きる犯罪や交通事故の件数から地域の治安を検討するようにしましょう。

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