人と住まいのコラム
「土地選びのキホン」が紹介する将来の住環境の先見性

新居購入の際に考慮したい“将来の住環境”

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土地選びのキホン

2020年の東京五輪の開催を前に、日本の首都の交通網や駅周辺の再整備が急ピッチで進められています。駅の周辺を散策すると、数年前まで商店街だった場所に大型の商業施設が建てられたり、古い団地がなくなり高層マンションが建設されたりすることも少なくありません。街の雰囲気は3、4年もあればがらりと一変することもあるだけに、新居を購入する際は行政の都市開発の計画などを把握したうえでその土地の将来像を見据えることが大切です。

土地選びにおいて考慮すべき将来性

住居を購入する際は、当然ながら現在の街並みや治安、利便性を考えて土地を選ぶ方が多いでしょう。そのため交通の便がよくなかったり、商業施設が少なかったりするエリアは、家族で暮らす生活の拠点としては敬遠されがちです。しかし、現在は取り立てて利便性を感じられないエリアでも、将来的には再開発によって暮らしやすい街に変貌を遂げる可能性があります。

土地の将来性を判断する有力な材料となるのが、行政が作成する「都市計画」です。都市計画では自治体が目指す街のビジョンをもとに、区画ごとの利用法が定められています。中でも特に注目すべきは地域の用途を住居系、商業系、工業系の3つに分け、建物の高さなどの条件別でさらに12種類に細分化した「用途地域」です。住居系の地域に工場は建設できませんが、工業系の地域に住居が建つケースはあります。都市計画を読み解いて居住地域を選択することで、工業地帯や繁華街になるエリアと知らずに家を買って失敗するケースを防ぐこともできます。

都市計画を知ったうえで先見性のあるエリアに住居を購入すれば、その土地の発展を期待できるだけでなく、住居の将来的な資産価値をある程度予想できます。各自治体の都市計画はインターネットで簡単に調べられますが、もし情報が見つからない場合は各自治体の都市計画課に問い合わせてみましょう。土地の将来性を見極めるためには能動的な情報収集が不可欠です。

開発で変わった二子玉川・変貌を遂げようとしている品川

商業施設の建設や路線の拡大が予定されている街に住居を構えれば、住み始めは不便でも将来的に暮らしやすさが向上する可能性があります。また、長きにわたり資産価値が保てるので、家を売って転居費用の足しにすることも可能です。住む街を選ぶときは、オフィスへのアクセスの良さや駅周辺の利便性、口コミの評価だけでなく開発後の資産価値についても検討しましょう。以下で紹介する二子玉川と品川は、実際に“価値が向上した”、“今後向上が期待できる”エリアです。


かつてない活況ぶりを見せる二子玉川

二子玉川は再開発によって住宅地としてのブランド力を高めた地域の代表例です。現在、二子玉川駅の周辺は、複数棟のタワーマンションの完成、複合施設・二子玉川ライズ、映画館・109シネマズ二子玉川のオープン、大手IT企業・楽天の参入などによってかつてない活況ぶりを見せています。また利便性が高いだけではなく、多摩川の近くで緑や公園が多いこともあり、子育てがしやすい環境が整っています。変貌を遂げた二子玉川は、今後もファミリー層を中心に衰えぬ人気を誇るでしょう。


東京の経済の中心となることが予想される品川

今まで品川には商業施設や居住用マンションが少なく、住む街として一番人気のエリアではありませんでした。しかし、今後は2020年に品川・田町間に新駅が誕生予定であり、その後もリニア中央新幹線の発着駅として大規模な開発が進められます。品川が大手町や有楽町に並び経済の拠点になることは確実視されているため、品川周辺に住居を構えれば今後長い期間にわたって資産価値を保つことができるでしょう。品川駅までのアクセスがいい京急やJR京浜東北線の沿線を狙って家を建てるのも賢明な判断ではないでしょうか。

街の今後の動向を自身でチェックすることが大切

おすすめのエリア情報は、住民の声や不動産業者から情報収集することも大切ですが、気になる街を一度は自身の足で探索してみましょう。実際に街を歩いてみて景観の悪さや不便さを感じる点があれば、都市計画を参考にしてその懸念が解消される見込みがあることを確認すると安心です。また、駅周辺の開発についてくわしく知りたいときは、鉄道会社のサイトから情報を収集するのも手です。

数年ごとに契約更新をする賃貸物件とは違い、持ち家は何十年にもわたって住み続ける生活の拠点です。現在の街の状況を考慮することは当然ですが、先見性を重視して街選び・土地選びをし、家族全員が安心して長く住み続けられる理想の住環境を手に入れましょう。

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