静寂とリズム、オンとオフ。マインドフルをもたらす住まいから生まれる新たな創造性

圧倒的な存在感を与えながらも、一切の無駄を削ぎ落とし静寂を感じさせる佇まいの外観。見上げれば、せわしない日常のスイッチがオフになり、心が凪いでいく。心地よいリズムを感じる内観の設えは、深いやすらぎを生み、新たなインスピレーションの源になるー
Modula杉並荻窪は、シンボリックな外観、リズムを感じる空間が特徴的な、設計士の深い思索がこもった邸宅です。住まう人の快適さと唯一無二のデザインを生み出すためにこだわり抜いた設計士、崔さんにその想いを語ってもらいました。
interviewee:(設計士 崔 錦実)
日本の建物に魅了され設計の道を選んだ中国出身の崔さん。大学卒業後、大手企業で現場監督を務め、大興ネクスタに入社後はModula杉並荻窪で設計士として初めて現場を担当。独創的な感性と合理性にこだわったデザインが評価され、初物件ながら社内の「商品企画賞」を受賞した。プライベートでは2児の母でもある。
天と地を結ぶ塔が、街の景観を引き立てる。ランドマーク的な外観の美しさ

見上げれば天にも届きそうな存在感。空へつづく1本のまっすぐなラインが特徴的な外観。
街の風景をも格上げするような洗練と調和を感じさせてくれます。
限られた敷地のなかで、どのように広さや重厚感を演出するか。これが設計時の課題でした。制約のなかで最大限に魅せたいと考え抜いた末の結論は、縦のボリュームを強調すること。
「外観は高く見せることと、ボリューム感を出すことにこだわった」と話す設計士の崔さん。
「三か所に袖壁を設置しているのですが、縦のラインを目立たせることで高さを出しています。またあえて凹凸させることで、ボリューム感と立体感を出しました。建物の規定によって屋根の高さに上限があるのですが、この袖壁を採用することで、制限された高さよりも高く見せられます。また、一般的な勾配屋根を隠す役割もしているので、他の家とは異なる特別感も演出しました」

「エントランス側はホテルや美術館のような高級感、重厚感を意識しました。窓は風の通りを意識した最小限の窓にして、必要以上にサッシを入れず一面にしたのがポイントです。パッと見たときに建物の縦のボリュームを感じさせるデザインにしています」
現代の陰翳礼賛。季節とともに変化する植栽計画
文豪・谷崎潤一郎は、自署『陰翳礼賛』(1933年発表)にて、「薄暗がり」を通じて日本の独特な美的感覚を随筆に残しました。日本の伝統的な生活様式において「陰影」がいかに重要な役割を果たしているかを強調しており、光と闇の絶妙なバランスを美と感じる感性を称えた名著です。どこか翳りのある美しさ、侘び寂びを感じる瞑想的な空間は現代を生きる私たちにとっても、心惹かれるものがあります。


エントランス脇、門柱の植栽計画で採用したシンボルツリーは、季節の移ろいを感じられる落葉樹を採用。
街の雰囲気や周囲の自然環境を踏まえたうえで、建物とのバランスを調整しています。ライトアップされた木の影が壁に投影され、建物の美しさを際立たせるアクセントに。
冬には葉の落ちる木を選んだことで、変わりゆく時間を視覚的に感じ、侘び寂びという日本特有の美的感覚が呼び覚まされます。
秩序が生み出す美の調和。この暮らしから生まれる「発展」
日本古来の伝統文様である「格子文様」は、上下左右に途切れることなく終わりのないイメージから、「永遠」や「発展」、「繁栄」などの意味を持つそうです。

エントランスを印象的に彩るのはグレーのタイル。整然と配置されたタイルが奥行きの広がりと、秩序のある美を演出しています。

無駄な装飾のない、シンプルな美しさから生まれる陰翳。控えめな灯りがピンライトのように、無の空間を照らす様子がアーティスティックです。
静寂とリズム、異なる感覚が調和し、共存する空間
せわしない日常を送る私たちに必要なのは、オンとオフのスイッチ。情報の洪水をオフにして静寂のなかでゆったりと呼吸を整えれば、次第に頭も心もすっきりとクリアな状態に。暮らしにそんな感覚をもたらす空間は、自分を整え、新たなステージに向かう活力を与えてくれます。

設計士の崔さんは、内装のこだわりとして、リブパネルと間接照明の関係性を挙げています。
「内装のこだわりは、勾配天井と廊下の一面にリブパネルを採用したことです。和のテイストが入り、室内の雰囲気をグッと落ち着かせる役割があります。
一方で、リブパネルを意図的に細い線にしたことで、圧迫感が出ず、部屋も広く見えたり、凹凸によって立体感がうまれたりして、一般的な家には無い、特別な空間が表現できました。
リブパネルの凹凸感に照明があたることで、室内にリズムが生まれます。和を感じる静寂の空間の中に、楽しさも加わったと感じています」

「間接照明によって、夜になると室内の雰囲気がガラッと変わります。昼と夜で部屋の表情がまるで違うので、そのワクワク感や空間の違いも楽しんでほしいですね。友人やお客様につい自慢したくなるような、そんなエンターテインメント性も意識しています」


自然光が入る日中は、夜とはまったく違う雰囲気に包まれます。爽やかで前向き。背筋がシャンと伸びるような気分に。

ひとつに繋がる壁と天井。室内にも縦の広がりを意識した場所があります。リブパネルの凹凸の一つひとつが影を作り、浮かび上がる様子は一枚の絵画さながら。縦のラインを印象付けるために左右を挟む壁は、装飾を削り、シンプルを極めた設えです。

日中の柔和な自然光とリブパネルの調和も印象的。夜と同じ場所とは思えないやわらかな雰囲気です。
この家の隠れた見どころであるキッチン脇の贅沢な空間ですが、この天地の繋がり感を出すためには大変な苦労があったとのこと。
「実はこのリブパネル、1本1本がつながるように、壁面部分と天井部分を合わせています。卓越した職人技が必要になったため、施工時は非常に苦労しました。
リブを活かすために窓をあえて左に寄せたのですが、大きな窓からは春になるとちょうど桜が見えて。茶色のリブパネルとピンク色の桜、上部の窓には青い空が見えて、まるで壁一面がひとつの芸術品のように仕上がります。自然の力も相まって、贅沢な仕上がりになりました」
光と影。朝と夜。静寂とリズム。相反する感覚を揺さぶられる空間は、そこにいる人の感性を刺激し、日常に感動をもたらします。
軽やかな暮らしを紡ぐLDK。そこは、ひらめきが自由に舞い降りる場所
考え抜かれた設計がもたらす快適な動線は、日々の生活における一切のストレスをなくし、集中力や創造力を引き出します。オンタイムにおいても、豊かな発想を生み出す源となるでしょう。


「ストレスのない快適な暮らしを実現するには、効率よく動ける家事動線を極める必要があります。特にキッチン周りは工夫しました。壁側にキッチンをつけてしまいがちなのですが、そうするとリビングとの一体感に欠けてしまって。さらにパウダールームにも遠回りになってしまい、ムダな動きが入ってしまいます。そのため、あえてキッチンの向きを横に変えて回遊型にしました。ダイニングテーブルをキッチンに付けられてLDKの一体感が生まれるうえ、効率的に動けるいい動線が組めたと思います」

効率の良い動線と室内の個性をまとめあげる一体感。両方を実現できたのは、崔さんのこだわりがあってこそ。
「本当に家ではゆっくりくつろいでほしいので、できるだけ空間の広がりや快適性は極めたくて。空間を広く使った贅沢感も味わっていただけるよう考えて設計しています」
光と風が通り抜ける道。四季を感じて暮らすこと

自然のリズムを日々の生活に取り込むために設計された家。窓から差し込むやわらかな光と、四季折々の風が家全体を包み込み、穏やかな時間が流れます。春のそよ風、夏の陽光、秋の涼やかな風、そして冬の澄んだ光。
四季の移ろいを感じながら過ごすことで、心に余裕が生まれ、自然との一体感を楽しむ暮らしが実現します。
「設計をする上では、光と風にすごくこだわっています。太陽の優しい光が室内に差し込んだり常に新しい空気が循環したりすることで、心地よい空間になり、生活の満足度が上がると思っていて。自然エネルギーを感じることで、新たなインスピレーションが湧く感じも再現したいと考えています。また太陽光の入り具合や風の流れから、季節の移ろいを感じられる贅沢な時間もイメージしています」
明るく心地よい風が通る空間での生活は、前向きな気分になれます。住まう人のことを考え抜いた設計には、現地に赴いての調査は欠かせないそうです。


「窓や空気の流れを意識して設計することはもちろんですが、実際に足を運んで土地や周囲の環境を事前にリサーチしています。
周囲の建物の高さや近さ、施設や植物など全体的に調べます。例えば隣の住宅との距離が近い時には、窓の高さが合わないように調整したり風が抜ける場所に窓を設置したりします。
外壁や外構の植物を検討する際も、周囲の家の様子やその街の雰囲気に合わせたデザインをしているので、事前調査は欠かせません」
ひとつとして同じものはない。住まう人の感性にひびく家を作りたくて

唯一無二の個性を大切にし、住む人の心に寄り添う設計。画一的なデザインではなく、住む人の感性やライフスタイルをイメージして、細やかな工夫を凝らし、日常の中で深い満足感を得られる空間を目指す。この家で暮らす人々の特別な物語を紡ぐ舞台となるように、心地よさと美しさを兼ね備えた家作りを実現した、Modula杉並荻窪。
崔さんはこのように語ります。
「同じ家は作りたくないですね。1回使用したアイデアはなるべく使いたくないというか。なので、常に設計のことを考えているし常にアンテナを張っています」

「間取りと外観、動線の3つを考えた設計は毎回悩みます。間取りが良くてもありふれた外観になってしまったり……。どうしても土地や地域の規定、建築条件、予算などの関係で、求める設計ができない時もあります。
すごく難しいところではあるのですが、お客様の優先順位と設計の譲れないポイントをすり合わせます。
お客様に絶対に後悔してほしくないので、可能な限り求める形に近づくよう、より魅力的な代案を出せる準備として常に勉強しています。
自分のアイデアや世の中にあるアイデアを組み合わせたりストックしたりして、困難な状況に陥ったときにすぐに対応できるように備えています。また大切にしているのは「住む方がどう思うか」という点です。
例えば、使いたい素材が予算の関係上使えない箇所があった場合、できるだけ使用して一部を別素材で補うのか、それとも一面他の素材で統一させるのか。部分的な補填は、住んだ方がその部位を見るたびに思い出して後悔してしまう可能性がありますよね。私はそれを避けたいと思っています。
住まわれる方の長期的な満足度を最優先に考えて素材の質と統一感を優先し、美しさと機能性を両立しました」


崔さんの設計は、住まいを超えた「住人の感性を刺激する芸術品」。洗練された美意識と機能性が融合し、住む方の創造性を引き出す極上の空間を提供します。
ハイスペックな物件に挑む彼女の姿勢からは、妥協なき探求心と卓越したセンスが感じられ、誰もが羨む唯一無二の邸宅に。これからも洗練された暮らしを求める方々の人生に、かけがえのない価値をもたらしていくことでしょう。
Modula杉並荻窪を手がけた設計士・崔さんが設計する今後の作品
世田谷区深沢5丁目(完成)※2024年10月現在販売中
武蔵野市吉祥寺南町(2025年初旬完成予定)






