人と住まいのコラム
「土地選びのキホン」が紹介する緑が多い環境を望む場合に着目すべき緑被率

緑が多い環境を望む場合に着目すべき緑被率

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土地選びのキホン

「家を建てるなら緑の多い地域がいい」と考える方は多いのではないでしょうか。 そうした方にとって東京のど真ん中である23区内は、緑が少なく高層ビルが並び立つイメージがあり、避けてしまいがちかもしれません。しかし、データを見てみると面積に対する緑の割合である「緑被率」が20%を超えるエリアは23区内に多数存在するのです。都内で暮らしながらも豊かな自然環境を望む方は、「都会=緑が少ない」という先入観にとらわれず、土地選びの際は緑被率を1つの指標にしましょう。

土地選びの際に検討したい緑被率の概念

緑被率とは、地域・地区における緑地面積が占める割合を示す数値です。緑被率が高ければ高いほどその土地は緑が多いエリアとされるため、自然の豊かさを住まい周辺に求めるのであれば、注目すべき数値と言えます。緑被率は純粋な自然だけでなく、人工的に作られた公園や緑道なども含まれます。なので、一見すると都心部で緑が少ないイメージが先行している土地でも意外と緑被率が高いというケースも存在するのです。

ただし、緑被率を調査する自治体によって「緑地」の定義が異なる場合があるため、住むことを検討している地域の自治体がどのような基準で緑被率を出しているのか、確認しておいたほうがいいでしょう。同じ自治体でもエリアによって緑被率の傾向が異なるため、大まかではなくかなり細かいエリア単位まで調べることをおすすめします。

また、緑被率に似た単語として「緑地率」という言葉があります。これは主に樹木や芝、草花といった植物によって覆われている部分の土地を指す緑被率と違い、樹林地や農地といった一般に「緑地」として定義される一団の土地の面積を指す際に使われるものです。言葉が似ているため混同しやすいですが、内容は大きく異なるため注意しておきましょう。

「23区内は緑が少ない」はすでに古い考え

上記で説明した内容を踏まえたうえで緑被率を調べてみると、「23区内は緑が少ない」という考えがいかに古いものであるかがわかります。各区役所が平成23年に発表した「みどりの実態調査」によれば、練馬区の緑被率は25.4%、世田谷区22.89%、港区21.78%という想像以上に高い数値を叩き出しています。

この数値は練馬区の4分の1以上、世田谷区、港区も4分の1近くが緑地ということになり、人口が集中する23区内にあってこの数値は常に緑が多い地域である証明と言えるでしょう。ただ、なぜ都心部の23区内にもこれだけの緑が存在するのでしょうか。その景には、都市公園の多さが挙げられます。

国土交通省の「都市公園データベース」によれば、平成27年の時点で23区内の公園数は4,219箇所あり、これは日本の都市のなかでもっとも多い数字です(2番目に多いのは札幌市の2,729箇所)。こうしたデータを見れば、23区内は緑が少ないどころか日本全国のなかで見ても、都市公園を意識的に作っている緑が多い地域であることがわかるでしょう。

都内でもエリア選定次第で緑のある生活も

都内=コンクリートで緑が少ないというイメージはすでに古い考えになりつつあります。ただ、もちろん地域によっては緑被率が低い場所もあります。たとえば台東区や荒川区、墨田区などはいずれも緑被率が低く、自然豊かな環境とは言えないかもしれません。

緑のある生活を求めるのであれば、緑被率の高い練馬区や世田谷区があり、住みやすい住宅地が多いとされる、城西エリア(新宿区、渋谷区、世田谷区、杉並区、中野区、練馬区)と城南エリア(港区、品川区、目黒区、大田区)がおすすめと言えるでしょう。都内であっても緑被率の高いエリアを選択すれば、自然に触れられる生活を送れるはずです。だからこそ、特に都内においては緑被率を意識して家選びをすることが重要になると言えるでしょう。

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