人と住まいのコラム
「住まいへのオモイ」が紹介する、木造・鉄骨造・RC造のそれぞれの住宅構造

住宅構造の比較検証~木造・鉄骨造・RC造~

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家づくりのホンネ

マイホームに対して抱く理想は人によってさまざまですが、自身が望む住まいにするためにもまず住宅建築にはどんな建物構造があるのかを把握することが大切です。 建物構造によって家の強度や住み心地が異なるので、長く生活を営むうえで後悔しないためには、家づくりの前にそれぞれの構造の特徴の違いを理解することが重要になります。当コラムでは基本となる木造・鉄骨造・RC造の3つの建物構造の特徴を比較検証します。

最初に把握しておきたい建物構造の基礎

建物の構造は、大きく分けて「木造」「鉄骨造」「RC造(鉄筋コンクリート造)」の3つに分けられます。一つ目の木造とは、主要構造部(柱、壁、梁など)を木材でつくった建物のこと。総務省統計局の「日本の住宅・土地-平成25年住宅・土地統計調査の解説-」によると木造は住宅全体の約6割を占めます。そのため、「家を建てる」ことを検討する際に多くの人がまず木造住宅を思い浮かべることでしょう。

「鉄骨造」は柱や梁を鉄骨(鋼材)でつくる建物です。厚さが6mm以下の鋼材でつくるものが「軽量鉄骨造」、それ以上の厚さの鋼材を用いたものが「重量鉄骨造」と呼ばれています。軽量鉄骨造は施工が簡単で工期が短期間で済む、重量鉄骨造は少ない本数の柱で頑丈な骨組みをつくれるので大空間をつくり出すのに向いているとなどの特徴があります。

最後の「RC造(鉄筋コンクリート造)」とは、コンクリートを鉄筋で補強した建物です。引っ張られる力に強い鉄筋を、圧縮に強いコンクリートで包む構造のため、建物の耐久性が非常に高いことが特徴。なお、鉄筋コンクリートの芯部に鉄骨を内蔵させた「鉄筋鉄骨コンクリート造」という建築構造もありますが、一般的な住宅というよりは大型のビルやマンションなどに用いられます。

木造・鉄骨造・RC造を徹底比較

住宅構造には木造・鉄骨造・RC造の主に3種類が基本となりますが、それぞれにどのような特徴があるのでしょうか。以下で重要なポイントを比較・検証します。

木造
  • 加工が容易で設計の自由度が高く、増改築がしやすい
  • 鉄骨造、RC造に比べて建築費用が安価で抑えられる
  • 吸湿、放湿性能が高い
  • 断熱性に優れている
  • 木材の腐朽や白アリ被害が起こりやすく、定期的なメンテナンスが必要になる
  • 法定耐用年数は22年と、重量鉄骨造やRC造に比べると短め
鉄骨造
  • 軽量鉄骨造の場合は比較的建設費用が安価で工期が短期間で済む
  • 重量鉄骨造の場合は柱と梁が太く頑丈なので筋交いが要らず、大きな窓や大空間を実現できる
  • 火災による加熱と錆に弱い
  • 軽量鉄骨造なら19年、重量鉄骨造なら34年と法定耐用年数に違いがある
RC造
  • 腐食しにくく熱に強い、耐久性に優れた構造である
  • 遮音性が高い
  • 施工精度によって品質が大きく左右されるため、施工業者選定が重要になる
  • 建設費が高価になる
  • 法定耐用年数は47年と長め

法定耐用年数とは金融機関の融資を受ける際の判断基準となる税務上の数字であり、「建物の寿命」とイコールではありません。ただし、「大規模な修繕を行わない場合」の建物の耐久性の目安にはなっています。つまり、何も手を加えない状態の耐久性はRC造>重量鉄骨造>木造>軽量鉄骨造の順に高いと考えられているということです。

やさしい木の素材を用いた木造住宅がおすすめ

法定耐用年数からわかるように、基本的な強度や耐久性はやはり木造よりも重量鉄骨造やRC造の方が高いと言えます。しかし、だからといって木造住宅が鉄骨造やRC造に比べて劣っているわけではありません。むしろ、木造は鉄骨造やRC造にはない優れた性質をもっています。

その性質とは、一言で言うと「住む人にやさしい」ということ。先ほど紹介した通り、木材は周囲の温度や湿度に合わせて空気中の水分を吸収・放出する性能や高い断熱性能をもっています。また、ほのかに感じられる精油の香りや、あたたかみがあり年月の移ろいとともに味わいを増していく風合いも木材ならではの特徴。それらが相まって木造住宅は住む人にとって非常に心地よい空間をつくり出すのです。

また、SE構法を取り入れれば、一般に短所とされる強度や耐久性を大きく高められます。高品質の施工を提供する信頼に足る業者に依頼できれば、鉄骨造やRC造に引けを取らない強度や耐久性を持った建築の実現も可能でしょう。現代の日本では木造住宅が減少していますが、木造住宅には鉄骨造やRC造にはない利点や、時が経つごとに増していく独特の魅力があります。心安らぐ空間でリラックスしたい、年月の移ろいを家の中で感じたいとお考えなら、ぜひ木造の家を建てることをおすすめします。

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