人と住まいのコラム
「土地選びのキホン」が紹介する住宅街それぞれの雰囲気

エリアによって異なる住宅街の雰囲気

イメージ
土地選びのキホン

東京23区内には、東京都全体の人口の約7割である940万もの人が暮らしています。 官公庁や企業の本社、百貨店に美術館などの施設がひしめく都心に、これだけ多くの人口の受け皿があるという事実は意外かもしれません。23区というと政治・経済・文化の中心としての一面に目が行きがちですが、それぞれのエリアに着目すると閑静な住宅地が多く存在することにお気づきなるはずです。

23区を分ける城東・城西・城南・城北の区分け

東京23区の発展を紐解くには、約150年前の江戸時代まで遡る必要があります。江戸幕府の誕生から現在に至るまでの約400年間で、江戸城を中心にして築き上げた城下町は世界有数の大都市にまで成長を遂げました。都の名前が東京に変わった現在でも、城を中心とした城東・城西・城南・城北といった城下町に由来するエリア区分は健在であり、皇居のある千代田区以外の22区を分類する指標としてその名を残しています。

城東の6区(中央区・台東区・墨田区・江東区・葛飾区・江戸川区) はいわゆる下町のエリア。銀座を擁する中央区は例外ですが、その他の5区は交通アクセスの割に地価が安く、昔ながらの住宅が多く残っています。その一方で豊洲エリアの開発やスカイツリーのオープンなどでレジャー・観光名所も増加傾向。新旧の魅力を堪能できる土地柄です。城北の6区(文京・豊島・北・荒川・板橋・足立) は都心へのアクセスも良好で比較的地価も安めであり、商店街や文教施設もそろっていることから、核家族が新居を構える地として人気があります。

城西の6区(新宿区・世田谷区・渋谷区・中野区・杉並区・練馬区)と城南の4区(港区・品川区・目黒区・大田区)は再開発によって整備された町並みと、高級住宅街としてのネームバリューが多くの人の心を引きつけています。新宿や渋谷などを中心に都心のイメージが色濃いのは確かですが、繁華街から少し離れれば意外なことに閑静な住宅街が広がっているのも、城西と城南の2地区の特徴と言えるでしょう。

住宅地として人気を誇るのは城西・城南

子育て世代や庶民派の層から支持されている城東・城北エリアに対して、城西・城南エリアは比較的に高所得者層に人気がある地域です。JR線と私鉄線、東京メトロが縦横無尽に走り便利であり、中野、荻窪、高円寺など独自のカルチャーが発展する城西エリア。そして、自由が丘、田園調布、中目黒など閑静な住宅街が名を連ねる品のよい城南エリアは、地価は高めですが誰もが憧れる理想の住環境を整えやすいことが最大の魅力です。

城西・城南エリアの中でも若いファミリー層の流入が目立つ二子玉川や若者の街下北沢といった注目の駅がそろう世田谷区は、長年にわたり不動の人気を維持しています。また、帝京平成大学などの新しいキャンパスが建ち並ぶ、大規模再開発の真っ最中の中野区は住宅地としての評価が高まると予想されています。豊かな自然と交通アクセスが強みの杉並区は老若男女問わず住みやすい街として評判です。

高所得層数が全国1位である港区には青山、麻布、白金など日本屈指の高級住宅街が多く存在しています。庶民派層から富裕層まで幅広い属性の方が住まう品川区や大田区は、交通アクセスのよさや商業施設の多さが特徴です。このように城西・城南エリアは好立地の品格と住み心地の良さを兼ね備えるだけに、今後も多くの方々から選ばれ続けるでしょう。

地盤安定で災害にも強い23区の城西・城南エリア

23区の西南エリアが安住の地として選ばれているのは、災害時の影響も無関係ではありません。特に首都直下型地震などが発生した際に被害を最低限に抑えることができる地盤の固さを備えています。城西・城南エリアの大部分は古い年代に形成された強固な地盤の上に位置しており、湾岸エリアと比較しても液状化の心配も少なく済みます。日本は地震大国なだけに災害リスクを考慮したうえでの土地選びが重要になるでしょう。

4つのエリアごとにまったく別の魅力がある東京23区。それぞれの地域によってさまざまなカラーが存在するだけに、その後何十年と暮らす家を選ぶうえではエリア選定が非常に重要になります。「23区内に住みたい」という漠然とした希望を抱きながら、エリア選定にお悩みの場合は城西・城南エリアをおすすめします。地震にも強く、閑静な住宅地が広がるこの地域は、家族と何十年も過ごすうえで理想的な土地柄ではないでしょうか。

この記事が気に入ったら
お気軽に共有してください

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE