人と住まいのコラム
「土地選びのキホン」が紹介する地震大国だからこそ気にしたい地盤の強度

地震大国だからこそ気にしたい地盤の強度

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土地選びのキホン

狭い国土にもかかわらず、世界の大地震の約1/5が発生しているとされる日本列島。 ここ20~30年の間に「阪神大震災」「東日本大震災」「熊本地震」などマグニチュード7を超す大地震が頻発しています。世界にも類を見ない地震大国なだけに、”安住の地”である住宅の購入には慎重にならざるを得ません。当然ながら、住宅購入の際は地震の影響を受けにくいエリアを選びたいものですが、地盤の強度を把握するためには何を意識すべきでしょうか。

住むエリアによって異なる地盤の強度

たとえ同じ市町村だったとしても、それぞれのエリアの環境・地形によって地盤の強度は大きく異なります。一般的に地盤が脆く、液状化(地震などの影響により地盤全体が液体のように流動化する現象)しやすいエリアは、土が砂質で地下水位が高い場所とされています。そのため、海岸近辺の埋め立て地や川沿い、かつて河川が流れていたエリアなどは、他のエリアよりも地盤が弱い可能性があるため、家を建てる際は事前にきちんと調査をしましょう。

東京では主に「荒川・隅田川に近いエリア」「東京湾沿い」「埋め立て地エリア」などが上記の土地に該当します。もしあらかじめ地盤がさほど強くない土地に家の購入を検討している場合は、「事前に地盤改良工事を行う」「堅固な基礎を作る」といった耐震対策が必要です。そうすることで地盤が弱いエリアでも地震に耐えうる家を建てられる可能性が上がります。安全面に不安を残さないためにも、地盤の強化に力を入れましょう。

反対に「山地」「丘陵地」「台地」など元来地盤が強い土地であれば、大きな地震が起こった場合でも崩れずに耐えられる可能性が高いと言えます。東京では「武蔵野台地」と言われる23区の城西エリアから多摩地域にかけての広大な台地があり、首都直下型地震が起きた際のシミュレーションでも比較的に被害が少ないであろうことが予想されています。

事前にチェックすべき地域危険度

地震大国日本で住居を購入する際に地盤の強度を確かめることは重要ですが、欠かさずにチェックすべきなのが「地域危険度」です。地震発生を食い止めることは誰にもできないので、せめて発生時に自身が家を購入するエリアがどれくらいの危険性があるのかを、あらかじめ知っておくことが求められるでしょう。

地域危険度とは、東京都市整備局が東京都震災対策条例に基づき5年ごとに行っている地震による地域ごとの危険度を評価する調査です。東京の町丁目ごとに「建物倒壊危険度」「総合危険度」「火災危険度」「災害時活動困難度」などを測定し、地震が発生した際の倒壊や火災発生の可能性、いざとなったときの避難のしやすさなどを判断して、総合的な危険性を5段階で算出しています。

地域危険度は5年ごとに更新されるため、東京に住宅の購入を検討される場合は、お目当ての物件があるエリアの最新の地域危険度を調べておくことをおすすめします。物件候補の選択肢が複数存在する場合は、地域危険度が土地選びの決め手になるかもしれません。

東京で安定した地盤を誇る城西・城南エリア

東京23区の中でも安定した地盤を誇り、比較的地震に強いとされているのが新宿区、渋谷区、世田谷区、杉並区、中野区、練馬区の6区で構成された城西エリアです。液状化の可能性が極めて低いこのエリアは、耐震性が高いだけでなく都内でも有数の住宅地が軒並み連なっています。都心へのアクセスが便利なエリアであり、老若男女問わず高い人気を誇っています。

また、23区の南部に位置する城南エリアも同じく安定した地盤を誇るエリアです。港区、品川区、目黒区、大田区の4区で構成されたこのエリアは、東京湾が近いエリアではありますが、ほとんどが地震に強い地盤とされる「台地」の上にあります。また、エリア内には白金や麻布、田園調布、自由が丘などの高級住宅街が数多く存在するだけに、人気と住みやすさを兼ね備えた場所であることも大きなポイントです。

地震大国日本に家を建てる際には、地盤の強度は重要な土地選定の基準の1つになります。地域の危険度を知ったうえで、エリア選定を行うことをおすすめします。どんなに頑丈な家だとしても、地盤が軟弱で液状化してしまう土地であれば、元も子もありません。住宅購入の際には地盤の強度を知ることが土地選びのファーストステップだと言えるでしょう。

※参照元:東京都市整備局 地域危険度とは
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/bosai/chousa_6/kikendo.htm

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