人と住まいのコラム
「家づくりのホンネ」が紹介する理想の住まいにするための敷地を活かした空間利用

理想の住まいにするための敷地を活かした空間利用

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家づくりのホンネ

海外のように広いリビング、プールつきの庭がある家に憧れを抱く方は多いかと思いますが、居住地が限られている日本ではなかなか難しい話です。 特に都心部に住もうと考えた場合、敷地が限られているため、狭小地や角度、高低差のある土地を選ばざるを得ないケースも少なくありません。そのため、広い敷地を十分に確保できない場合は、空間利用の工夫を行うことで実際の面積よりも広く感じられる住まいを目指すことが重要なのです。

敷地の特徴を活かした空間利用

マイホームの建設を検討している土地が狭かったり、買おうとした分譲住宅がいびつな地形をしていたりするケースは珍しいことではありません。特に都心部の人気エリアである世田谷区、中野区、杉並区などの城南地区や品川区、目黒区、大田区などの城西エリア地区で広い居住スペースを確保するには多額な費用がかかるでしょう。

しかし、今後何十年も生活の拠点となる家に快適性を求めるのはごく当たり前のこと。そのため、限られた敷地において重要になるのが空間利用なのです。敷地面積が狭い「狭小地」や、道路に面する部分が少なく敷地までの通路が旗の竿のような形状をしている「旗竿地」、地形に奥行きがある縦長の変形地、高低差のある傾斜地などに対し、敷地の特徴を活かした空間利用には、以下の方法があります。

地形の
種類
敷地の特徴を活かした
空間利用の方法
狭小地 階を増やしたり地下をつくったりするなど設計を工夫する
旗竿地 建物が建てられない土地を庭や駐車場のスペースにする
(縦長の)変形地 階段下に収納スペースを配置するなどデッドスペースを活用する
傾斜地 高低差を活かして地下に車庫を設置する

上記のように十分なスペースを確保できていない土地だとしてもあきらめる必要はありません。空間利用においてもっとも重要なのは、限られた敷地のスペースを最大限に活用することであり、工夫を加えることで快適空間を創出することは可能なのです。

住宅構造によって実現できる空間利用

住宅設計の工夫によっても、効果的な空間利用を行えます。中2階や半地下室などを設けて床面の高さに変化を持たせる建築方法「スキップフロア」なら、土地の高低差を活かして室内を半階ずつゆるやかにつなぐ構造にできます。室内の構造が上下に向かって斜めに広がるため、開放感を得やすい点も特徴です。また、スキップフロアを採用すれば階段周りにも無駄なく部屋を配置できるため、廊下部分を減らして空間を広げられるという利点もあります。

ほかにも建物の1階部分にガレージを設け、2階や3階部分を居住空間にする「ビルトインガレージ」も有効な空間利用の方法です。敷地面積が狭くても1階部分に駐車スペースを確保でき、2、3階部分を住宅として空間を無駄なく利用できます。建物内に駐車スペースをつくるには強度が重要になりますが、柱と梁で建物を支えるラーメン構造を採用したSE構法などであれば十分な耐震性を確保することが可能です。

建物の間取り構造を工夫することでも、効果的な空間利用を実現できます。主に屋根裏に設置されるロフトをつくることで、余剰空間が寝室や物置などの使える空間に。また、半地下や階段の下などに収納スペースを設けることで、わずかな空間さえも無駄にしない建築方法の工夫も多く存在します。

空間利用によって実際よりも広く感じる住まいに

総務省統計局の発表による「平成25年住宅・土地統計調査結果」では、平成25年の1戸建てあたりの平均述べ床面積は39坪でした。それを基準とするならば快適な住宅にするうえでは、決して十分な広さのスペースを確保しているとは言いきれません。特に都心では住宅地はかなり限られてくるだけに、広く感じさせる工夫を施すことが大切なのです。

もし分譲住宅をご検討中の方であれば、土地の広さを聞いただけで判断しないことをおすすめします。もしかしたら、狭い敷地を最大限に空間利用した快適な家である可能性もあるのです。また、注文住宅であれば、面積が狭くても工夫次第で住みやすいつくりも実現できます。重要なのは土地の広さだけではありません。実際の面積よりも広く感じられる“工夫が盛り込まれた住まい”であるかを家選びの判断材料とすべきなのです。

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